神社や寺院の境内で、密集して採餌していたドバトの群れが、何かに危険を感じて、大きな羽ばたき音とともに一斉に飛び立ち、社殿や本殿の棟上に緊急避難する
情景は、神社や寺院に参拝したときよく見掛けます。 緊急離陸には大きな上向きの力が必要ですが、そのときの動作や上向きの力発生のメカニズムについては、すでに
ステージ1で詳しく説明しました(表題⑮ キジバトの離陸、補足 話題9 鳥の緊急離陸に対する多段式
ロケットモデル 参照)。 また、デービット・アッテンボロー:鳥達の私生活>2 飛行の熟練者たち(浜口哲一・高橋満彦 訳、山と渓谷社、2000)には、クジャクバト
の緊急離陸の的確・鮮明な写真とともに、具体的な説明がされています。
地上にいるドバトの群れで、(縁側にいる)一羽のドバトが危険を感じて緊急離陸するとき、それを合図に全てのドバトがほぼ一斉に飛び立つ群れ飛行のパターンは、
⑧ 敵の攻撃から逃避するシロチドリの群れ飛行や⑨ 晴れた日に海上を移動するヒヨドリの群れ-敵の攻撃からの逃避
にも共通する鳥の群れの(統制のとれた行動のように見える/反射運動のようにも見える)逃避の飛行パターン(習性)であると考えられます。 人には慣れたドバトが(地上の)何をもって
危険と感じているかはよく分かりませんが。
緊急離陸で それぞれの鳥が作り出す強い下降気流は 小範囲に限られ、地面で跳ね返される気流もあって、他の鳥の離陸に不利な影響を与えることは ほとんどないでしょう。
彫刻では、最初の強力な打ち下しと足蹴り、次列風切羽をすぼめ 初列風切羽をねじって 分離した羽根の隙間から空気を逃す引き上げ、
空気を下方へ引き込む真上での打合せ後の開き、強力な打ちおろし、空気を下方へ押し出す真下での打合せ、などの飛翔姿が表現されています。
2015年8月制作、縮尺1/2、1号