定年退職後、飛翔姿の鳥の彫刻と鳥の飛翔の力学的考察を始めてから間もなく23年が経ちます。 単独の鳥の飛翔から群れの鳥の飛翔へと
進展させてきました。 しかし、昨年の春、脳梗塞で緊急入院し、その後、院内での再発、再々発防止のための頸動脈手術、リハビリのための転院
などで 想定外の時間を費やしました。 残念ながら、後遺症として右手が利かなくなり、鳥の彫刻も中断せざるを得ない状態になりました。
そこで、手作業の彫刻は、リハビリを兼ねて、今後も続けて行く積りですが、これと並行して、時期尚早とも思われますが、左手だけでもできる
デジタルカ―ビングに挑戦することを考えました。 これは以前から考えていたことでもあります。
デジタルカ―ビングとは、被写体を取り囲むように配置された多数のデジタルカメラで同時に撮影した画像から合成ソフトで作成した3Dデータ、
または3Dスキャナーでスキャンして得られる3Dデータを、3Dプリンター、またはレーザー加工機、またはCNC(コンピュータ数値制御)切削機などに
入力して、彫刻を制作することです。 作品の大きさや素材にはさほど問題はないと思われます。 巧く行けば、精確な写実的作品が短時間で
制作可能になり、従来のバードカービングは本来の意味を失う可能性もあります。 けれども、広い空間をすばやく飛びまわる野鳥に関しては、
現在のところ未だ多くの課題が残されています。 特に、数少ないデジタルカメラで正確な3Dデータを作成するソフトの開発や3Dスキャナーの
スキャンスピードのレベルアップが必要です。 さらに、着色の技法にも課題が残されています。
3Dデータ作成ソフトや3Dスキャナーの発展は、また各種デジタル工作機や着色技法の発展は、他の分野での必要性に応じて、また熾烈な国際的
競争もあって、非常に急速です。 まずは、これらの情報の探索・確認からはじめ、次いで動きの遅い鳥の彫刻の制作から手掛けて行きたいと
考えています。 これまでと同様に、制作は急がずに、無料のソフトや(例えば FabLab(一般市民に開放されたものづくり工房)に在るような)
低価格レンタルのスキャナーや工作機を利用して、生活費の中で賄える範囲でやって行きたいと思っています。