⑧ レースバトの羽ばたき飛翔

 レースバトは、伝書バトでも知られているように、連続した羽ばたきで60km/hを越える 速度で直線飛行します。 野鳥ではありませんが、その飛翔姿には特徴があり、人工的に飼い 慣らされ、飛翔の方法も詳しく観察されているので、あえて取り上げることにしました。 レースバトは、 翼の打ち下ろしによる推力だけでなく、翼を引き上げるときにも、初列風切の後ろ払いによって 推力を補っているといわれています。 レースバトが野生化したドバト(カワラバト)は社寺の 境内や河原でよく見かけるのですが、飛行距離が短く、動作がはやいので、肉眼で直接確かめるのは 容易でありません。 翼を引き上げるとき、翼角における折り曲げと、それに続いて初列風切を スナップを利かせるように振り上げる動作がその特徴であるといわれています。 ドバトの 賑やかな羽ばたき音は、後ろ払いで生じた初列風切羽の翼列構造が打ち下ろしで閉ざされる ことにも関係があるように思われます。

制作:2000年12月、~実寸




同上作品を側面から見る

 このような後ろ払いの動作は、⑦ダイサギの羽ばたき飛翔で述べた翼の引き上げ動作に続く 動作として、(中型の鳥でよく見られる)2点ヒンジ羽ばたき飛翔で、羽ばたきの全行程を通して 正の揚力と正の推力を弱めることなく作り出す方法ではないかと考えられます。 

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