ダイサギは翼の2つの関節(肩と手首)を使って、初列風切と次列風切の打ち下ろしと 引き上げの位相がずれた羽ばたきをすることで知られています。 初列風切の打ち下ろしの 途中で、次列風切の引き上げが始まります。 揚力や推力を中断することなく発生させる ためだと考えられています。 次列風切羽を引き上げるとき、揚力を持続させるために、その迎角を 大きくします。 それによって生じる負の推力は、初列風切の打ち下ろし(手首の折り曲げ)で 生じる正の推力によって打ち消されるでしょう。 このような2点ヒンジの羽ばたき飛翔は、 子供の頃、絵本で、夕焼け空をねぐらへ帰って行く鳥の姿が逆W型のシルエットで描かれていた のを連想させます。
ダイサギは首の長い鳥です。 実際に、肩から嘴先までの長さは、肩から尾先までの長さ より大きく、このため、飛翔のときは、首をS字型に曲げ、重心の位置を後ろへずらせています。 翼を広げたとき、風切羽のない上腕部の張出しが大きいので、翼と胴の間に隙間ができないように、 次列風切羽は大きく内側に傾いています。 これはダイサギのような2点ヒンジの羽ばたき飛翔で、 翼角を高く引き上げて迎角の大きな翼を形成するのに都合よくできていると考えられます。 繊細 なレース状の肩羽を彫刻で表現するのは難しいことです。 嘴の色が黄(冬・非繁殖期)と黒(夏・ 繁殖期)の間で変化することに注意しましょう。
制作:2003年1月、縮尺:1/2(全長=89cm、翼開長=130cm)
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