⑯ 海上で採餌するウミネコの群れ

 ウミネコは日本周辺に分布の限られたカモメで、繁殖期には海岸の崖などにコロニーを作り、非繁殖期には数十羽から数百羽の群れで生活することが知られています。  また、魚食性で、海面ついばみや飛び込みによって浮魚を捕食することが知られています。

 観光船についてきて船客の捨てる残飯を捕食するウミネコや、川原で人の投げる餌を捕食する(空中キャッチする)ユリカモメの飛翔を見ていると、カモメの仲間が高速から空中停止までの 自由ですばやい速度の変更、高度や方向の自由ですばやい変更ができることに驚かされます。 大型の鳥や潜水性の海鳥が追い上げて密集させた小魚を捕食するウミネコの群れ飛翔は、その 優れた飛翔の技を示すのに格好の彫刻の題材になると思われます。

 一般に、海鳥が魚を捕獲するときの群れ飛行のパターンや飛翔方法は、集まった魚の種類、水深や移動速度によっても異なり、遠くから見えるそれらの特徴は ベテランの漁夫の漁の判断材料になっていると言われています。 イワツバメの採餌でも見られたように、群れ飛行のパターンや飛翔方法が餌の種類、位置や分布、動きなどによっても異なる ことに注意すべきです。

 ウミネコの採餌での協力行為は、魚群の到来を仲間に知らせ 情報を共有する以外には見当たらず、それぞれの鳥がその優れた飛翔の技を存分に活用して、自由に行動しているように見えます。  最近ではインターネットによって、“海上で採餌するウミネコの写真”を多数見ることができますが、減速滑空で高度を下げ浮魚を捕獲する姿、高速滑空で下降し海面直上で緊急停止して浮魚を 捕獲する姿、ハンギングや(海面から少し離れて)ホバリングして、浮上してくる魚を狙っている姿、捕獲した魚をくわえて加速・上昇して行く姿、魚群を追い越してしまって引き返す滑空姿 など、滑空飛行を基本とする様々な採餌の姿や技を見ることができます。

2015年5月制作、縮尺1/4、1号

 潜水性の海鳥の群れが水中で魚群を捕獲するときの水中飛翔も、彫刻の題材として関心があります。


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