⑯ スズメの間歇羽ばたき飛行

 「スズメは人家のあるところなら、最も普通に見られる鳥であるが、その飛び方を知っている人は意外に少ない。 スズメの飛び方も実はムクドリと同様、羽ばたきと弾道飛行の繰り返しである。 ただし、スズメの場合はムクドリのような直線飛行にならず小刻みな波を描くようになる。」(吉良幸世、自然はともだち 南沢博物誌、2000、自由学園出版局、頁107)。 「例えばスズメの場合、約6回の羽ばたきを一気に0.3秒続け、次いで翼を0.3秒折り畳む。」(R.マクニール アレクサンダー(東昭/訳)生物と運動 バイオメカニックスの探求、1992、日経サイエンス社、頁135)。


制作:2007年11月、実寸



 例えば、秒速10メートルで飛行しているとすれば、約6回の羽ばたきで 3メートル飛び、次いで翼を折り畳んで 3メートル飛ぶことになるでしょう。 このようなモードの異なる飛行の距離区間で見れば、スズメのすばやい間歇羽ばたき飛行(上弦アーチの羽ばたき飛行や下弦アーチの折り畳み飛行)も、肉眼で識別できるのではないでしょうか。 飛行速度がこれより小さいときは、波状飛行の波長や振幅も小さくなり、小刻みな波を描くことになるでしょう。 実際には、羽ばたきの回数、羽ばたき飛行距離や折り畳み飛行距離は状況に応じて異なるでしょうし、離陸から着陸までの距離が短いときは、離陸のための羽ばたき飛行や着陸のための降下飛行と重なり、また 他の鳥との接触回避や吹く風などの影響を受けて、かなり不規則で複雑な飛行になると思われます。 スズメのように、短い翼ですばやく羽ばたく小型の鳥では、小さな体重に大きな加速度を与える筋力もさることながら、空気の動きの非定常・3次元性が重要になり、より大きな推力(押し上げる力)を作り出している可能性もあります。

最初へ

次へ

分類表へ