⑬ ウズラの渡り

 ウズラはキジと同類、ニワトリと同目で、一見長距離移動は難しいように思われますが、渡りをする鳥として知られています。 その翼開長/全長比や翼の縦横比などを見ると、それらは、キジとハトやカモの中間にあります。 また、翼の形は、キジと異なり、ハトやカモに似て 先が尖っています。 これらの比較は、飼われているウズラの測定によるものですが、野生のウズラではもっと飛行に適した大きさや形に進化している可能性があります。 生息する草原や農耕地では、キジやハトのような垂直離陸や直接離陸をし、長距離を移動するときは、ハトやカモのような羽ばたき飛行や滑空飛行をしていると思われます。 小柄な体や体重(比較的小さな翼面荷重)がそのような飛翔を可能にしていると考えられます。 短腕の翼を小さな周期で羽ばたいて 推力、したがって飛行速度を上げている(飛行時間を短縮している)可能性や、非定常・3次元性の効果によって少ない力の負担で必要な揚力を作り出している可能性も考えられます。

 補足②で説明されているように、一気に長距離を移動することができなくても、体力に応じた数の中継地を飛び継いで渡ることも可能です。 時間的・地域的に発生する追い風や上昇気流または無風の状態を利用して、中継地を飛び継いで行くことも考えられます。 ウズラの迷彩色、潜んでいた物陰からのすばやい飛び立ち、草の実や昆虫など幅広い採餌の種類は、多様な数多い中継地で外敵から身を守り、それぞれの環境に順応するために、進化し身に付けたものと思われます。




制作:2006年9月、実寸










制作:2008年3月、実寸

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