「キジはバタバタとはばたいて、ある程度の高さまで上昇すると、つばさを広げたままスーッと滑空していくという、独特の飛び方をします。」(シリーズ みる野鳥記 第2集 〔山野の野鳥〕 18 キジのなかま
たち (財)日本野鳥の会 編、1993、あすなろ書房) 第1ステージの ⑯ キジの垂直離陸 の説明もご覧下さい。
キジの翼面荷重は非常に大きいので、最小滑空速度はかなり大きいと考えられます。 それゆえ、勾配の急な羽ばたき上昇から滑空へ移行するところでは、(位置エネルギーを運動エネルギーに変えるために)大きな落差(急降下)が見られるでしょう。 このようなキジの飛び方(迅速な移動方法)は、
ムササビの移動方法(R マクニール アレクサンダー(東昭訳)“生物と運動 バイオメカニックスの探求” 1992、日経
サイエンス社)と よく似ています。
広げた長い尾はフラップ効果を与えるので、モーメントのバランスをとるために、両翼はやや前方へ
出した姿勢になるでしょう。 両翼や尾を下に傾けているのは、操舵性をよくするためだけではなく、
それらの連携効果によって下向きの気流を作り出し、揚力を増強していると思われます。 また、分離して 隙間のできた初列風切羽も翼列効果を作り出し、揚力の増強に寄与するでしょう。
制作:2004年11月、縮尺:1/2