ツバメは数羽の群れで、ときには ばらばらになって、海面すれすれに飛んで渡って行くと言われています。 それは、外敵から身を守り、波を追い越して吹く風の上昇・加速気流や、凪いだ海面での表面効果を利用するためにも、都合のよい飛行方法と言えます。 波頂付近での上昇・加速気流は、補足③で述べられている 間歇羽ばたきバウンディング飛行の羽ばたき加速過程(エネルギー補給過程)に利用されるならば、より省力・省エネルギーの高速飛行を可能にするでしょう。
渡りをする鳥は、体重に見合う強化された筋力、各種抵抗を節減するために進化した構造や形 をもっています。 ツバメの軽い体重(~18グラム)(滑空や羽ばたき飛行に有利な小さな翼面荷重)、 (長距離を高速で飛行するのに有利な)先端の尖った三日月型の翼、(移動する波を追い越して吹く風に乗って波頂付近での上昇・加速気流を利用して飛行するときや、海面すれすれに表面効果を利用して飛行するとき、不規則な波を渡り飛び・障害物をよけて飛ぶ操舵に都合のよい)二又に分かれ捻りが利く尾、尖った嘴を突き出し足を引っ込めた紡錘型の体形などは、そのような特徴を表しています。 それにしても、僅か18グラムほどの体で、日本とフィリピンや中国南部との間を往き来するツバメの渡りには驚嘆の他ありません。
制作:2006年8月、実寸
尾を少し上に曲げて捻ると、尾には横向きの力と下向きの力が発生するでしょう。 このとき、翼を少し後退させて揚力中心を重心より少し後ろにずらすと、尾に発生した下向きの力が作り出す(重心に関する)モーメントは翼の揚力が作り出す(重心に関する)モーメントによって打ち消されるでしょう。 このようにすれば、垂直尾翼がなくても、真横方向への方向転換が可能になると考えられます。