⑮ 夕方 集団塒へ向かうハシボソガラスの群れ

 カラスは、スズメやムクドリとならぶ日本の代表的な里の鳥ですが、非繁殖期の秋・冬には群れで生活することが知られています。  ムクドリと同様に、昼間分散して採餌・休息していたカラスは、夕方になると漸次に集合し、大群になって集団塒へ向かいます。 その数は 数百から数千にもなると言われています。 季節の移り変わりとともに変化する集団塒の規模や集団塒へ向かう 群れ飛行のパターンは、中村登流:鳥の社会(新思索社、2006)にも詳しく述べられています。 例えば、冬に見られる最大規模の群れでは、 「近い所から来るものは低く飛んでくるが、大群で来るものは、高い所を長々と列になってやって来る。  数百羽に及ぶ行列は黒い蛇のように見え、うねりながら移動するので、異様な形状を示す。」と記されています。

 塒へ帰るカラスの群れ飛行は、子供の頃に唄った童謡「夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘がなる おててつないでみなかえろ  カラスといっしょにかえりましょ」を、その頃の故郷(三重県名張や京都下鴨・松ヶ崎)の(夏休の)夕暮れとともに、懐かしく思い出させます。  彫刻はそれをイメージしたものです。 注意すべきことは、カラスの塒が、季節や年によって、規模、構成個体 そして場所を大きく変えることです、したがって、塒へ向かうカラスの 群れ飛行のパターンも それらに対応して多様に異なるであろうと考えられます。 カラスの塒の複雑な変遷については、樋口広芳・黒沢玲子  編著:カラスの自然史(北海道大学出版会、2010)にも詳しく述べられています。


2015年5月制作、縮尺1/4、1号



次へ
最初へ